HONEY SOURCE

ゆらゆら、浮くまま

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消失する私がいる

私は昨日と今日のちょうど境目に生まれました。それは赤い赤い裂け目からの誕生でした。大きな手がまず出て、そこからだんだん裂け目が大きくなって、最終的にはひっくり返ってしまったのです。
全てを飲み込んだ私と、私に飲み込まれた、いうなれば母でしょうか、もしくは父でしょうか、いまとなってはどうでも良い問題なのですが、生まれたとき私は泣いていました。それはそれは大きな声で。まるで世界が終わるかのような、あるいは始まるかのような、今までの前提をひとつ残らず覆せる、そんな確信を心の底で固めながら、私は泣いていました。涙すら出てはいませんでしたが、たしかに泣いていました。泣かないと生きていけないかのように。

それから私はひとり海へ潜ることにしました。潜る、ことはつまり、還る、ことを意味しています。私の内側がそう言っています。聴こえてくるのです。目を閉じると、泣きなさい潜りなさい息をすることは泣くことだ、と私の内側が、母が、父が、生まれてくるはずだった双子の妹が、伝えてくるのです。
そして決意しました。空で消えようと。消える直前までは海でひっそりと声を発したいと思ったのです。それは、それくらいのわがままは、許されても良いと思うのです。きっと許してくれるだろうと思うのです。私の犯した罪は消えないけれど、それと共に生きていくことこそが務めだと。思うのです。

ねえねえだから私と一緒に潜って沈んでくれますよね? そして消える直前には光の速さで空に行ってくれますよね? ねえねえ聞いていますか? 聞こえていますか? 私の声は聞こえていますか? あなたに届いていますか?
私は自分の消えるときくらいは知っています。それを知っていることが私の唯一の長所だと認識しています。だから、消えるときは間違いなく空にいるのですが、そのときは父も母も妹も一緒なんです。だって私の内側にいるんですよ? 一緒じゃないはずがないですよね?
この話、分かります? 通じてます? 同じ言語ですか?

でも本当は消えたくなんてないんです。こんなこと思ってしまっては申し訳ないと、本当に心の底から申し訳ないのですが、これは本当に、本音なんです。私が生きている間に言う本音はたったこれだけです。あとは言ってしまえば建前です。円滑に生きていくためには本音なんて必要ないという事は分かっているので、たったひとつだけ言わしてください。
本当は皆と生きたいのです。ねえねえ本当は消えたくなんてないんです。分かってください。これだけは分かってください。でも消えていくのが定めなのだとしたらそれは、それは私が背負うものだとは分かっています。それでも、ひとかけらの望みがもしあるのならば、私はそれに縋るでしょう。だって生きていないと、なんの意味も無いでしょう?

(ほら、もう消える時間だ、さような、ら?)
すらすら : comments(0) : - : シュウ :

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