HONEY SOURCE

ゆらゆら、浮くまま

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失われたばら色

そういえば、とあることを思い出す。咳払いをひとつ。さあ、思い出話の始まりだ。
ガラスの破片が刺さった左目には彼が住んでいる。美しさは変わらないまま。ばら色だったあのころは幼さだけが取り柄だったはずなのに、いつの間にかすっかり抜けてしまったかけがえのないばら色。確かその隣は青色で、ああそういえばあれも薔薇だった。薔薇が咲いた、薔薇が咲いた。確か子供が生まれたんだっけ。どうりで最近姿を見ないはず。生まれたのは双子で、両親にとてもよく似ていると風の噂で聞いた。美しい彼の子もまた、美しいに違いない。愛されるために生まれてきたのであろうあの子。愛おしくて愛おしくて吐きそうだ。どうか我が目に触れさせてくれ、あわよくば、抱きしめさせてくれ、そして、その柔らかい頬に、ばら色を。
「総てを無くしてからはどうでも良いと思えた。」そう歌った彼は生きているらしい。良かった。本当に良かった。早く元気な姿を見たい。いや、元気でなくても良い。この地球上のどこかで息をしている、その事実だけで良い。だから早く。
あってはならないことを平気な顔でこなす彼女の左手。これくらいできなくてどうします?口角を上げて彼女は言った。人形の様なその完璧ともいえる表情が崩れるときはあるのだろうか。あの愛おしい子の前では、泣いたり、笑ったり、ヒステリックを起こしたり、するのだろうか。もしかして彼女にも、泣き疲れて眠る夜があったりするのだろうか。想像も出来ない。だって彼女はいつも、フランス人形の様な美しい顔を、決して崩さなかったのだから。
それはもう、おそらく一年以上も前の話。
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